全国新聞教育研究協議会(全新研)

新聞教育の実践事例から考える

通信制大学の学生が作った半才スクラップ新聞①(全新研理事長 菅野茂男)

 東京にある大学の通信制教育課程の学生向けスクーリング講座を担当した際、3人~5人のグループをつくり、模造紙半分の大きさ(専門用語で「半才(はんさい)」と言います)でスクラップ新聞をつくる課題をやってもらいました。手順は以下の通りです。

  1. 大きなテーマを決める
  2. 各自で5つ程度の記事を選ぶ
  3. 自分が選んだ記事を紹介しあう
  4. 全員で組み合わせをいくつか考え、小テーマを決める
  5. 半分に切った模造紙に記事を置きレイアウトやデザインを考えながら「テーマ」「記事の要約」「感想」「意見」「提言」などを書いていく
  6. 完成したらグループごとに発表をする

 学生の皆さんが持ち寄った新聞はほとんどが1~2カ月以内のものでしたが、9グループのうちなんと4グループがAIをテーマにしたスクラップ新聞を作りました。それだけAIの記事が紙面を賑わしていることを改めて感じました。

 また、実社会に出たあと学び直しで来ている方や、資格を取るため多忙な仕事の合間を縫って地方からこのスクーリングに参加している方などもいて、新聞記事を切り取る際、小中高生とは異なる視点で選んでいるのものが多くみられました。
「未来のAIとの付きAI(あい)方」しゃれたタイトルが光ります
AIの長所、短所を際立させ猫のイラストを効果的に配置した作品です
学生のSNSとの向き合い方とAIを関連させて扱っています
タイトルの周りにある大小の「AI」文字。持ち寄った紙面から切り抜きました。

通信制大学の学生が作った半才スクラップ新聞②(全新研理事長 菅野茂男)

通信制課程の学生さんの中には、教育関係のお仕事に携わってる方や子育て真っ最中である方も多くいて、教育をテーマに選んだものも2つありました。
 受講後の振り返りには、スクーリングで初めで出会った人とグループを組み、しかも年令の違いや異なる職場で働く人同士で、果たして決められた時間内に新聞を作ることができるのか不安に思った、という思いが数多く書かれていました。1日の生活の大半を学校という限られた空間でともに過ごす小中高生ならばすぐ始められるグループワークですが、まずはお互いのコミュニケーションを図るところから始める難しさがあったことが伺えます。
 しかし、出来上がった作品を見ると、10代の若者同士とは違うおとなの視点から俯瞰して見た感想や、実社会で働いている人ならではの提言が随所に見られ、教育に40年間携わってきた私から見ても、興味深い作品ばかりでした。
ぜひ子どもに新聞を読んでほしい!という熱意が紙面から伝わります
人生案内を始め幅広い視点で教育関係記事を集めたことがポイントですね

通信制大学の学生が作った半才スクラップ新聞③(全新研理事長 菅野茂男)

グループで半才スクラップ新聞を作ったことについて、学生さんたちは次のような振り返りをしています。
  • 同じ目標、課題について向き合うことで、ひとりでスクラップ新聞を作る時より内容が充実していくのを感じた
  • この作業ではチームワークが求められ、初対面ということもあり先ずは相手を知ることから始めました。それぞれの個性を知ることができたのも大きな学びでした。
  • この新聞づくりはAIを頼っても上手くいかないだろうし、自分たちの個性が出て面白かった
  • 協調力、計画力を学ぶことができグループで新聞を作り上げた達成感は忘れることができないほどです
  • グループで作業し、発表まですると、自分では気づけない他の人達の文章を読み解く視野の広さを知ることができた
 この課題を行うにあたり人生で初めて新聞を読んだ、という人もいて、多くの学生さんにとって忘れることのできない貴重な経験になったことは間違いないようです。

今回の半才スクラップ新聞を作るにあたり、貼り付けた新聞記事の新聞社名日付を紙面に記載することを作成手順の中に入れ忘れていました。作品や論文などを作成する際、使う資料の出典を明らかにするのは基本中の基本です。これから指導をされる先生方においては、私の失敗を他山の石とされますようご留意ください。
ただ暑いだけではない夏の魅力を伝えようとする努力が伝わってきます
熊本出身の学生もいたグループの作品で緊迫感がひしひしと伝わります
日本から離れた場所のイラン情勢を身近に引き寄せる工夫が感じられる作品です

全国の新聞教育に関わる人々が昭和33年(1958年)に創設した研究協議会。新聞づくりやNIEをやってみよう、という先生たちの情報交換、交流の場として役に立てることを願い、全新研のHPが令和7年10月にリニューアルしました。

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